日本人、正直すぎ問題。 ― 落とした現金が戻ってきて一番動揺したのは私ー
日本人、ちょっと正直すぎやしませんか。
日本で物を落とすと、だいたい戻ってくる。
海外なら「ご愁傷さま」で終わる話が、日本では「少々お待ちください」で復活する。
以前、友人が空港でカシミヤのカーディガンを落とした。
空港×カシミヤ=終了、の方程式。
本人も半分諦めながら電話したら、
「届いてます」
しかも、畳まれて。
空港でカーディガンが帰ってくる国、冷静に考えて怖い。
で、今度は私。
スーパーで現金チャージして、返金のお金を取り忘れた。
帰り道で気づいて、心臓が一瞬止まる
で、今度は私。
スーパーで現金チャージして、返金のお金を取り忘れた。
帰り道で気づいて、心臓が一瞬止まる。
「あ、終わった」
現金。むき出し。無防備。
これはもう勉強代だな、と半分悟りながらレジに戻る。
すると店員さん、落ち着いた声で一言。
「情報センターに届いてるかもしれません」
……現金を?
誰が?
なぜ?
拾った瞬間、葛藤ゼロで?
半信半疑で情報センターに行くと、
ありました。
そのままの金額で。
噓でしょ。
日本人、正直すぎない?
海外だったら「神に祈れ」で終わる案件が、
日本では「お名前フルネームお願いします」で解決する。
もうここまで来ると、
善意というより国民性という名の習慣病。
誰も褒められないのに、
誰も見ていないのに、
ちゃんと届ける。
これ、教育?
DNA?
それとも「落とし主の念が強すぎた」?
便利さとか治安とか、いろいろ言うけど、
日本の一番すごいところはたぶんこれ。
正直者が損しないどころか、
めんどくさい手続きをしてまで正直でいようとする国。
もうね、
落とし物が戻ってくるたびに思うのよ。
日本人、
ちょっと生真面目すぎて、
自分たちで自分たちの首、締めてない?
でもまあ――
そんな国だから、今日も安心して財布を落とせるんだけどね。