介護は愛じゃない、耐久テストだ ~ウソ泣きする母と、キレる娘の年末~

Kao/ 12月 30, 2025/ 未分類

手に職をつけ、社会人としてそれなりに社会に貢献し、
「普通の女性が憧れる家庭」を築くルートは、きれいにスキップした。
代わりに独身貴族を満喫。海外旅行、欲しいものは「自分へのご褒美」と名付けて即決。
老後は貯蓄を切り崩し、左うちわで静かに余生を送る──
そんな“計画通りの人生”だったはずだ。

ところが現実は、両親の在宅介護。
しかも一人で二人分。
人生、どこでルート変更された?

二年で片親を見送り、残る片親とは口喧嘩しながらも何とかペースをつかみ、
「あと数年の我慢」と自分に言い聞かせていた矢先、年末間際の事故。
短期宿泊施設で転倒。
骨折? 寝たきり? 要介護レベル爆上がり?
頭の中で、最悪シナリオがフル再生。

結果──
幸い(というか、残念ながら)打撲。
これが一番タチが悪い。
車椅子の快適さを覚え、すっかり“病人モード”。
戻ってきた途端、自立拒否キャンペーン開始。

こちらは容赦なくスパルタ路線へ。
歩け、立て、自分でやれ。
すると実母、ここで必殺技。
ウソ泣き。

……泣きたいのは、こっちだよ。
くそばばあ。

世の中、親を在宅で看ている娘なんて、そう多くない。
なのに、なぜ年末に限って人生の耐久テストを仕込んでくる?
介護ほど、理不尽で、割に合わず、見返りゼロの労働はない。

トイレまでの歩行介助をしながら、
ふと、高齢の親を殺めてしまった事件が頭をよぎる。
ああ、分かる。分かりすぎるほど分かる。

でもね。
まだ「くそばばあ!」と罵倒できているうちは、健全だ。
感情を飲み込んで無言になるほうが、よっぽど危ない。

介護に必要なのは、聖人君子の心でも、自己犠牲でもない。
毒と本音と、ギリギリの笑い。
今日もそれで、なんとか踏みとどまっている。

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