「結婚しない女」と負け犬市場
昔「負け犬の遠吠え」なんて本があった。
「結婚できない女=負け犬」──まあ、ずいぶん安いレッテルよね。
私は当時から「できない女」じゃなく「しない女」だと決めていた。
売れ残りじゃなくて、出荷拒否。返品されるくらいなら、最初から倉庫でダラけてる方がマシだもの。
(まあ、その倉庫ってのがワンルームの安アパートってとこが、私の“高貴さ”の限界なんだけど。)
昭和の頃は「寿退社」が女のハッピーエンドだった。
幸せを「条件のいい男」という外注先に丸投げして、本人はドヤ顔。
でも令和の今は婚活アプリで「年収600万以上」「身長170cm以上」とか、まるで家畜の競り市。
進化どころか、アプリで効率化された分、よけいタチが悪い。
で、私はというと?
市場に並ばず、吠えもせず、スーパーの見切り品コーナーで半額の刺身を選びながら、
「今日もよく鳴いてるわね」と心の中でクスクス笑ってるだけ。
負け犬? ええどうぞ、呼びたきゃ呼んで。
でもその犬、案外、台所でゴロゴロ寝っ転がって幸せそうですよ。