女優もどき、美容室で主演中。  ― 承認欲求パーマ、絶賛上映中 ―

Kao/ 10月 19, 2025/ 未分類

行きつけの美容室で、となりに座った女性がどうも“女優もどき”らしい。
シャンプー台から戻るなり、「先日ね、京都で撮影が〜〜」と大声で話し出した。
どうやら、あたかも“ここに芸能人がいますよ〜”と周囲に聞かせたいらしい。
美容師さんも困ったもので、
「あぁ、京都でしたか〜」と絶妙に相槌を打つ。

プロだ。こういう“承認欲求のヘアスタイル”も、日常茶飯事なのだろう。
私はというと、タオルで前髪を押さえつつ、心の中でツッコんでいた。
——誰? あなた誰?

昭和の女優なら、どこかで見た顔、見覚えのある佇まいがあった。
でも今どきの“自称女優”は、名前を言われてもピンと来ない。
YouTubeで“舞台やってます”とか、“映画出てます(自主制作)”レベルでも、
「わたし女優なの♡」って堂々と言える。便利な時代よね。
昭和の頃の女優は、スクリーンで汗も涙も本気だった。
一方いまの“女優もどき”は、トリートメント中にSNS更新で忙しい。
「作品づくり」じゃなくて、「自己演出」に命をかけてる。
もはや女優じゃなくて、“女優というキャラ設定”の人間。
勇気を出して(というより興味本位で)チラ見したら、
……ごく普通。どこにでもいそうな「ママ友の上位互換」くらい。
なのに「京都ロケ」とか言われると、もう笑いを堪えるのが必死。

思うのよ。
昭和の女優は“本物を演じる人”。
令和の女優もどきは“自分を盛る人”。
——でもまあ、美容室っていうのは、だれでもちょっと女優気分になる場所。

ただし、演出過剰な主演女優は、見てる側からすると
だいたい“エキストラ以下”に見えてるってこと、気づいてない。

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