皇室を見守って半世紀。こっちも人生ドラマです ~昭和おばちゃん、日曜の朝にコーヒーと毒を添えて~
昭和のおばちゃんにとって、皇室アルバムは日曜の朝のニュースより信頼できる番組だった。
芸能ニュースなんて、どこまで本当かわからないけど、皇室の映像だけは“清らか”で“安心”。
あの頃の日本人にとって、天皇ご一家は心の整え薬みたいな存在だったのよ。
現・天皇陛下がまだ皇太子だったころ——。
もう、真面目、誠実、慎み深い。
世間は「理想の男性像」として教科書に載せたいレベル。
でも当時の私は思ったのよ。
「この子、反抗期ゼロで大丈夫? 胃に穴あいてない?」って。
(うちの息子なんて、三日で口きかなくなったわよ!)
そしてやってきた、お后候補バブル。
テレビも週刊誌も、まるで恋愛リアリティショー。
「どの令嬢が本命か!?」「ご学友が語る秘話!」
国民総・皇室ウォッチャー。
そのなかで登場したのが、あの雅子さま。
外務省、才色兼備、キャリアウーマン。
おばちゃんたちは最初こう思った。
「え? こんなデキる女性、宮内庁が許すわけないでしょ」
だってあの頃の宮内庁なんて、“昭和の男社会の最後の砦”。
“お上品で、何も言わない女性”が理想のテンプレートだったんだから。
ところが、皇太子さまは譲らなかった。
これがねぇ、人生でたった一度の我がまま。
国民の前で“恋愛で押し切った皇太子”なんて、もうそれだけで拍手喝采。
日本中の女性が思ったわよね。
「やっぱりこの国のプリンス、根性あるじゃない」って。
それから年月がたち、今のご一家はまさに「理想の家族像」。
愛子さまも凛としていて、バランス感覚が素晴らしい。
なのに、いまだに“誰がどう育てた”とか、“ご公務の姿勢が~”なんて言う人がいる。
ほんと、日本人って皇室ウォッチャーという名の井戸端会議民族よね。
ま、皇室も庶民もストレス社会。
陛下が微笑み、私はコーヒーをすすりながら毒づく。
どっちも日本の伝統芸よ。