成功の賞味期限 ~一発屋と呼ばれた男が、いちばん長く生き残った。~
最近、YouTubeを開くと景気のいい話ばかりだ。
副業で月100万円。
SNSで法人化。
会社員を卒業して自由な生活。
そして気が付くと、みんな「経営者」になっている。
昭和のオバちゃんとしては少し不思議だ。
経営者というのは、社員の給料を心配し、景気が悪くなれば自分の責任として背負う人だと思っていた。
ところが今は、SNSが当たる。
法人を作る。
肩書をCEOに変える。
これで経営者らしい。
もちろん時代が違う。
スマホ1台で商売ができる時代なのだから、昭和の感覚を持ち出す方が古いのかもしれない。
ただ、成功論を熱く語る動画を見るたびに思い出す人がいる。
有吉さんだ。
猿岩石で爆発的に売れ、その後、仕事がなくなり、長い低迷期を経験した。
だから今の有吉さんには不思議な軽さがない。
一度、谷底を見ているからだ。
トヨタのモリゾー会長の言葉にも同じことを感じる。
何万人もの社員とその家族を背負ってきた人の言葉には重みがある。
一方で、昨日までフリーターだった人が、今日から経営者として人生論を語る動画もある。
別に否定はしない。
ただ、人生は上り坂だけでは終わらない。
本当の実力が見えるのは、頂上に立った時ではなく、転げ落ちた後だ。
もっとも、私も株で利確すると天才になった気分になるので、人のことは言えないのだけれど。
それでも思う。
法人設立は数日でできる。
肩書の変更は数分で終わる。
でも、経営者になるのはそんなに簡単じゃない。
少なくとも、YouTubeのプロフィールを書き換えるだけでは無理だろう。